旅客機巡航時の揚力係数と抵抗係数。飛行機の飛ばせ方(2)

飛行機に関して空力係数という言葉をきいたことがあるだろう。揚力係数CL、とか抵抗係数CD という言葉だ。大型旅客機が高度1万メートル近辺を巡航しているときにこれらの係数はどのくらいの値になっているのだろうか。

(1)揚力係数
図1は巡航状態の揚力係数だ。横軸に翼面荷重(重量を基準面積で割った値)とり、飛行高度Z をパラメータに振っている。巡航だから、揚力と重量はつりあっている。したがって、横軸を重量と考えれば、揚力(縦軸の数値に動圧をかけたのも)は一つに決まる。高度により空気密度が変わるから、高度がパラメータとなる。この図はこれを示している。

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(2)抵抗係数
図2は、巡航状態における抵抗係数のグラフ。航空機の抵抗は、ゼロ揚力抵抗CD0 と誘導抵抗(drag due to lift) CDiに分けられる。式で書くと、
     CD = CD0 + CL^2/(pi・e・A)
となる。第2項がCDi である。誘導抵抗は、揚力係数CL、Oswald efficiency factor e そしてアスペクト比 A の函数である。
右辺の揚力係数は、動圧を介して、巡航飛行では重量W とつりあっている。
ボーイング777-300 の機体数値を
     CD0 = 0.02
     A = 9.61
とすると、翼面荷重W/S に対する抵抗係数CD のグラフが得られる。これが、図2である。

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(3)揚力・抵抗比 Lift-to-Drag Ratio
揚力係数CL と抵抗係数CD が出たので、その比をとれば、揚力・抵抗比 Lift-to-Drag Ratio が出る。L/D (エル・オーバー・ディ)とよばれているものである。旅客機の巡航においては、L/D は 10 以上になっている。

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(4)推力・重量比
巡航なので、抵抗方向の力の和はゼロになっている。言い換えれば、推力T と抵抗D はひとしい。また、抵抗D と揚力(すなわち重量)の関係は(3)で出ているので、推力T と重量W の関係がでる。それをグラフにすると図4の様になる。推力は重量の1/10ぐらいしか出していない。ここが揚力をつかう航空機の最大の利点だ。重量のたった1/10 の推力を出せるエンジンを積めば、浮上するのだ。ロケットは重量を上回る推力を出さないと上昇しない。
戦闘機が垂直(加速)上昇するには、推力が重量を上回らなくてはならない。飛行機の推力は離陸のときに最大となる。

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空力係数の実際の値がどのくらいか概念がつかめただろうか。実際の数値を出してみることが工学では重要なことです。

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旅客機の巡航速度と高度の関係。飛行機の飛ばせ方(1)
http://44579446.at.webry.info/201102/article_52.html

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