池内了「科学の落し穴」を読む。常識的な、あまりに常識的な。

池内了「科学の落し穴-ウソではないがホントでもない」晶文社、2009年 を読む。ひとことで感想を述べるなら、「常識的な、あまりに常識的な」本、と言えるだろうか。

あるいは、世の中をすこしシニカルにみるならば、この本が常識的に見えるのは、世の中があまりに非常識なせいだろうか。こんな常識的なことをわざわざ声を高くして言わなければならないところに、現代の病状があるのだろうか。

内容に、基本的には、異議はない。突拍子もない奇抜なことが書かれているわけでもないし、驚くような新発見が説明されているわけでもない。著者の専門でない分野をひろく論じているせいか、著者の勉強結果のレポート(夏休みの宿題を思い出す)を読んでいるような気がする。

多分、この著者は、専門でもこのような仕事の仕方をしているのだろう。ひろく勉強してデータを集め、それを帰納的に分析して、よさそうなものを並べる。レビュー型の研究者というべきか。独自の革命的なアイデアを適用するような、発見的な仕事とは対極にあたる。アインシュタインでなければ、このような仕事の仕方もあるだろう。

地球環境問題についてなんといっているか。地球が複雑系であるといいながら、地球が温暖化している、と結論付けている。これは自己矛盾だ。

地震については、複雑系であるから、予知はできない、と正論を言っている。なぜ、地球温暖化論と区別するのだろうか。

宇宙研究のビッグ・サイエンス化についてはどうか。「肩肘を張って日本独自の有人飛行を目指すのは、無理な背伸びでしかない」とのたまう。この文章のすぐまえは、宇宙観測のはなしで、宇宙開発へ話が飛んでいて、論理的脈絡がない。論拠なしに、有人飛行に飛んでいる。

ようするに、こんなような議論の進め方なのだ。こんな論理で一流の物理学者がつとまるとは、日本の物理学会も。。。。。

「友人から。。。本格的な科学社会論を書くべきだ」と言われているそうな。著者のいままでの思考方法と仕事のやり方から見ると、
凡庸な、あまりに凡庸な
本にしかならないだろう。残念ながら。
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