大気圏再突入時の加熱現象に関する誤解。流体力学のお勉強。(その15)

「はやぶさ」や「スペースシャトル」が大気圏に再突入するときには、高速飛行による摩擦熱で機体表面の温度が上昇する、とよく説明されますが、これは間違いです。摩擦ではありません。

1.摩擦によるという理論(?)の破綻は、機体先端の「よどみ点」の現象を考えれば明らかです。

よどみ点では気流の流れが分岐します。ここでは、機体表面に垂直方向の速度勾配がゼロ du/dy =0 なので、摩擦は発生しません。しかし、空気力学的な加熱はこのよどみ点が一番多い点です。

2.また、例えば、機体の温度が、気流の温度(総温または詳しく言えば、回復温度)より高かったら、加熱現象はどうなるのでしょうか。このときは、機体が冷やされる方向の現象となり、摩擦があるのに機体が冷やされます。摩擦理論が成り立たないことが、ここでも分かります。

3.では、摩擦ではなくてなにが過熱現象の原因なのでしょうか。それは、機体表面に垂直な方向の温度勾配 dT/dy による、としか表現できません。高速では、速度分布 U(x,y) と温度分布 T(x,y) は独立でそれぞれ別個に決まります。圧縮性流体力学の基本です。

4.それでは、なぜ「摩擦理論(?)」が流行しているのでしょうか。それは、レイノルズのアナロジーのせいです。このアナロジーは、「熱伝達係数は摩擦係数に比例する」ことを主張しています。しかし、このアナロジーは低速領域でしか成り立ちません。大気圏再突入現象には適用できません。

ちょと難しい説明になりました。分かったでしょうか。
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