ギリシャ語(43) アスペクトについて(14)

アスペクトを論じるさい,ぜひ理解しておかなければならないことがある。

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それは,完結性perfectivityと不完結性imperfectivityとのちがいは,かならずしも場面のあいだの,客観的なちがいでもないし,また話し手によって客観的なものとしてさしだされているもののあいだのちがいでもない,ということである。おなじ話し手がおなじ場面をさししめすのに,なんら自己矛盾をおこすこともなく,まずはじめに完結相の形式を,つづいて不完結相の形式をつかうことは,まったく可能なのである。このことは,つぎにあげる例をもちいて,説明することができる。John read that book yesterday; while he was reading it, the postman came. (ジョンはその本をきのうよんだ。彼がそれをよんでいるとき,郵便配達人がやってきた),あるいはこれとおなじ意味をもつフランス語の文, Jean lut ce livre hier; pendant qu’il le lisait, le facteur vint,またはロシア語の文,Ivan procital etu knigu vcera; v to vremja, kogda on ee cital, prisel pocital’on。動詞’toread(よむ)'のことなる形式は,いずれもよむという同一の場面をさししめしている。しかし,はじめの文では,ジョンがよむという場面はひとまとまりの出来事としてさしだされていて,ひとつづきの時間的な局面に下位分割されていない。第二の文では,この出来事は局面にくだかれていて,話し手はいまやジョンがよんでいるという場面のまっただなかにたっている。そして,この場面のさなかに郵便配達人の到着という,もうひとつの出来事がおこったことをつげている。ジョンがよむという出来事は,まえの文では完結相の意味をもっている形式をつかって,さしだされているだろう。

Bernard Comrie, Aspect - An Introduction to the Study of Verbal Aspect and Related Problems, Cambridge University Press, 1976, 山田小枝訳, むぎ書房1988。

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