テーマ:物理学

衝撃波で圧力、密度、温度はどうなるか。流体力学のお勉強(その49)

「お勉強(その48)」で衝撃波断熱曲線を圧力 p と比体積 V の関係としてグラフで示した。衝撃波断熱曲線(Rankine-Hugoniot adiabat)と通常の熱力学の断熱関係式(Poisson adiabat)の比較をしたわけだが、実際上、衝撃波が出来ると、気体の圧力、密度、温度はどのような値になるのだろうか。それを示すのが下の…
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衝撃波断熱曲線と通常の断熱関係式。流体力学のお勉強(その48)

通常の熱力学でいう断熱関係式は、圧力をP、比体積をV(=1/ρ) 、比熱比をγとすると            で表される。特にこの曲線をPoisson 断熱曲線と呼ぶことがある。 しかし、衝撃波断熱曲線(Rankine-Hugoniot Curve)は衝撃波の関係式            から導かれる。この…
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Detonation 爆轟とDeflagration 爆燃の違い。流体力学のお勉強(その47)

Detonationとdeflagration の違いについて補足しておこう。 (1)Detonation は衝撃波後流の温度が上昇するためにおこる燃焼で、衝撃波が超音速で進むのにしたがい、燃焼領域も超音速で進行する。 (2)それに対し、deflagration は衝撃波とな直接は関係なく燃焼条件が満たされたときに発生する「…
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福島第一原発の爆発は爆轟detonationだったのか(その2)。流体力学のお勉強(その46)

Detonation というのは、衝撃波shock wave による気体の断熱圧縮により、衝撃波後流の気体の温度が上昇し、そのため、可燃気体が燃焼条件を満たすようになり、爆発的に燃焼するものである。衝撃波の速度は超音速なので、この燃焼領域は超音速で広がる。あたかも燃焼領域の先頭が超音速で移動している様に見える。 それに対し、def…
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福島第一原発の爆発は爆轟detonationだったのか。流体力学のお勉強(その45)

福島第一原発の1号機、2号機、3号機で水素爆発が起きた。この現象は爆轟 detonationだったのか、爆燃 deflagrationだったのか。Detonation とはなにか復習しよう。 1.衝撃波ができるとその後ろ(下流)の温度が上がる。(お勉強(その30)参照) 2.するとその領域で、可燃気体の燃焼条件がそろう。 3.…
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書評。米谷民明「光を止められるか」。失敗作の見本。読んで分からなくても心配しないでよい。

米谷民明「光を止められるか-アインシュタインが挑んだこと」岩波科学ライブラリー178、2011年。高校生向きと称する啓蒙書。しかし、失敗作の見本である。高校生よ、この本を読んで、内容が理解できなくても心配しなくて良い。書き手が悪いのである。世の中には説明下手な本がある、ということを知ってもらうことにこの本の価値があるのだから。 そ…
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ハンディGPSで地球の丸さを実感しよう

GPSの出力は、経度・緯度・高度の組で表示されます。これを、直交座標系に変換すると、地球の丸さが実感できます。 朝鮮半島を東に飛んでいる飛行機のGPS出力を処理してみました。 (1)航路の地図上の表示 (2)航路を直交座標系で表示。(タテとヨコの長さがそのまま比較できる。) (3)航路をENU(East-…
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「電話帳」の翻訳書が出た。画期的だ。何部売れるのだろうか。

いわゆる「電話帳」すなわち、Misner-Thorne-Wheeler, Gravitation。その翻訳が丸善から出た。15,750円。どれだけ売れるのだろうか。売れる部数で日本の知的レベルが分かる。 そもそも、翻訳が出ることが、知的レベルの高さを示しているのだろうか。 中国語訳は出ているだろうか。アラビア語訳は出ているだろう…
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震源をENU系座標で表す。3月9日から3月11日へ至る道(4)。

震源位置は通常、経度と緯度で表される。しかしこれでは距離の絶対値が東西方向と南北方向ではことなってくる。そこで、ENU(East-North-Up)座標系で震源位置を表してみよう。原点は、3月11日14時46分のM=9地震とする。 (1)震源の東西/南北方向位置。(震央の位置。) (2)東西方向に対する震源の深度 …
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震源の経度とマグニチュードの関係。3月9日から3月11日へ至る道(3)。

3月9日から11日までの東北地方東方の地震は東西に伸びています。マグニチュードはほぼ一定ですが、14時46分の地震だけ飛びぬけて大きなものとなっています。 ***************** 震源の深さと震央の位置。3月9日から3月11日へ至る道。 http://44579446.at.webry.info…
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「津波の速度はジェット機なみ」の誤解。流体力学のお勉強。(その44)

津波の速度はジェット機なみの速さである、との「風説」が出回っている。専門家さえ自信ありげに述べている。この「風説」は物理学の基本を理解していない半可通がいっているだけで、世間に誤解を及ぼしている。正そう。 自分の頭で考えてみよう。今回、宮城県などに押し寄せた津波のビデオを見たひとがたくさんいるだろう。津波はジェット機なみの速度で押…
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津波発生時の波の形(その2)。流体力学のお勉強。(その43)

Cauchy-Poisson問題の続き。(その42)では初期条件として、自由表面の形状としてディラックのデルタ函数を仮定した。速度ポテンシャルの形をおなじくディラックのデルタ函数としたときも解析的に解ける。これは、いわば、表面形状はゼロとし、初速度を与えることに相当する。結果的には同じような波の形をした結論が得られる。 初期条件は…
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津波発生時の波の形。流体力学のお勉強。(その42)

水の波のうち、津波の発生に相当する初期条件に関する問題は、Cauchy-Poisson の問題としてつとに有名である。これは線形領域の近似解であるが、流体力学の面白い性質が表れている。Lamb, Hydrodynamics をもとにグラフを書いてみよう。 線形近似の定式化だから、基礎となる方程式は、速度ポテンシャルに関するラプラス…
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水の波の速度。流体力学のお勉強。(その41)

水の波(表面波)の速度は、流体力学の基礎方程式を適当な境界条件の下で解けば求まる。特に、線形近似が成り立つ範囲では、方程式は速度ポテンシャルに対するラプラス方程式となり、境界条件は水の表面における「水の粒子」の運動が表面の形状の変化に等しいという条件となる。また、底での速度の垂直成分がゼロとなることも加わる。 表面波で面白いことは…
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海の波の不思議(その2)。流体力学のお勉強。(その40)

「海の波の不思議。流体力学のお勉強。(その26)」でトロコイド波を紹介した。波に浮かんでいるボールが円運動をする、というやつだ。補足しよう。 この波は、渦がある条件の下での波である。したがって、Kelvin の定理から、ある時刻に渦があるということは、初期にも渦があることを意味している。すなわち、「自然な」初期条件からはこの現象は…
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陸上を走る津波の速度。流体力学のお勉強(その39)

3月11日に衝撃的な映像を数多く見た。そのうちの一つが、仙台平野を走る津波。陸上を走る津波をこれほどまでに長時間・長距離にわたり中継した例を私は知らない。 津波の速度は通常、浅水波(波長が水深に対して長い波)にカテゴライズされ、その速度は      c=sqrt(gh) と書かれる。ここに、g は重力加速度、h は水の…
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書評。「地球が丸いってほんとうですか?」。高校生向けの基本的な本。親父ギャグはいただけない。

日本測地学会監修、大久保修平編著「地球が丸いってほんとうですか?-測地学者に50の質問」朝日新聞社、朝日選書752、2004年を読む。基本的な知識を高校生向けに書いた良書。しかし、すこし冗長すぎる。レベルがすこし低い(中学生向けと間違う)。共著の弊害が出ていて、重複がおおい。索引がない(これは致命的!)。 測地学の基本的な新しい知…
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書評。「シュッツ相対論入門第2版」。加筆部分はまったく幾何学的でない。非加筆部分は良作。

「シュッツ相対論入門第2版」丸善、2010年を読む。大冊520ページ。重力波や宇宙論の部分を加筆改訂したという。しかし、これらの部分は、式も図も少なく、文章がだらだら書き連ねているだけで、説得力に欠ける。入門者にとっては、前半部が有用だから、新版を買う必要性はまったくない。改訂した意義を疑う。 確かに文献表などを見ると新しい文献が…
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書評。トホーフト「サイエンス・ファクション」。常識を超えない保守的な本。副題は間違い。

ヘーラルト・トホーフト「サイエンス・ファクション:疑り深い科学者のための宇宙旅行入門」岩波書店、二宮正夫、二宮彰訳、2010年をよむ。常識人の現代地球環境に関するエッセイで、意外性、新規性のまったくない保守的な本。ノーベル物理学賞受賞者の面影はどこにもない。あまりに保守的な、と言ったところの本。 まず、訳者がつけた副題は本書の趣旨…
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書評。井ノ口順一「リカッチのひ・み・つ」。たのしい読み物。バイキング料理の味がする。

井ノ口順一「リカッチのひ・み・つ-解ける微分方程式の理由を探る」日本評論社、2010年を読む。楽しい読み物である。「高等学校で微分積分学を学んだ読者のため」も本というが、チト、それでは手ごわい。なにしろ、群論、射影幾何、行列の指数函数、ベクトル場、解析力学等々現代の数学のあらゆる分野の手法が出てくるのだ。広い知識をもった人には、あっちこ…
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高速道路における衝撃波Shockの形成。流体力学のお勉強(その38)

高速道路で渋滞にあいました。いまではめずらしくないことです。GPSを持っていたので、衝撃波Shock Front がどのように形成されているか、グラフにしてみました。速度の急激な減少が衝撃波です。密度と流量が見積もれれば、立派な流体力学が構成できます。 ++++++++++++++ 新燃岳「空振」の物理学。君は衝撃波…
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新燃岳「空振」の物理学。君は衝撃波を見たか。流体力学のお勉強(その37)。

新燃岳の爆発(2月1日午前7時54分)の映像で衝撃波を見た人も多いと思う。なにが起こっていたのか説明しよう。(ビデオ映像を添付したいのだが、手ごろなのがない。You Tube で見て欲しい。)例の、山を衝撃波がかけ下り、山肌にホコリが立ってた映像だ。 爆発により衝撃波が発生し、それが一番早く山を下りる。そのスピードを u1 とする…
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新燃岳「空振」の物理学。衝撃波の強さ。流体力学のお勉強(その36)。

「お勉強(31)」で衝撃波に関する式を提示した。式だけでは意味がつかめないのですこし数値を入れてみた。一番難しいのは、爆発のエネルギーをどれくらいかと見積もること。ピナツボ火山の爆発エネルギーが 10^19 Joule とか、クラカトア火山の爆発エネルギーが 10^17 Joule との計算もある。広島に落とされた原子爆弾は、15 キロ…
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新燃岳「空振」の物理学。怖いのは熱。流体力学のお勉強(その35)。

「お勉強(その34)」で衝撃波内部の解を紹介した。温度分布を書くのを忘れていたので紹介する。下の図を見ていただきたい。r/r0 = 1 が衝撃波の位置で、r/r0<1 が衝撃波の内部、すなわち、衝撃波が通り過ぎた後の状態である。グラフからも分かるように、中心に近づくにつれて、きわめて急激に温度が上昇する。高温になるわけである。 …
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新燃岳「空振」の物理学。衝撃波の後ろの流れ場。流体力学のお勉強(その34)。

工学上必要なのは、衝撃波のすぐ後ろの圧力の最大値です。しかし、物理学上で面白いのは、衝撃波の背後の流れ場の物理量です。衝撃波が通り過ぎた後の場、すなわち、衝撃波と火山の間の速度、圧力、密度の分布を下の図に示します。 r/r0 = 1 が衝撃の配置。r/r0 = 0 が球の中心、すなわち、爆発地点。添え字2は衝撃波のすぐ後ろでの値。…
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新燃岳「空振」の物理学。爆発エネルギーの効果。流体力学のお勉強(その33)。

爆発現象においては、衝撃波の強さ・伝播速度なとは爆発のエネルギーに依存します。どの程度依存するか、グラフに描いてみました。 ************: 新燃岳「空振」の物理学。衝撃波の伝播速度。流体力学のお勉強(その32)。 http://44579446.at.webry.info/201102/art…
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新燃岳「空振」の物理学。衝撃波の伝播速度。流体力学のお勉強(その32)。

新燃岳の火山爆発による「空振」は衝撃波によるものです。では、この衝撃波はどのように伝播するのでしょうか。衝撃波の伝播速度は衝撃波の強さ、さらにさかのぼれば、爆発のエネルギーによります。たとえば、爆発のエネルギーが 6x10^13 (Joule) のときには下の図のようになります。 (1)衝撃波の伝播距離。 衝撃波の速度は、図2の…
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新燃岳爆発の「空振」は衝撃波shock wave による。流体力学のお勉強(その31)。

新燃岳が噴火してその「空振」によりガラスが割れて怪我人が出た。この「空振」とはなにか。これは爆発現象にともない衝撃波(ショック・ウエーブ)が発生し、そのステップ状の急激な圧力上昇により生じたものです。強い爆発の物理学について復習してみましょう。 強い爆発に関するパラメータは、爆発のエネルギー E と気体の密度 ρ1 だけである。他…
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