テーマ:書評

高橋昌明「平家の群像」を読む。壮大なる石母田正へのオマージュ。

高橋昌明「平家の群像-物語から史実へ」岩波新書、2009年を読む。石母田正に学び、石母田を越える、壮大なるオマージュの書である。 君は、石母田正を知っているか。彼の「平家物語」岩波新書、1957年。名著の誉れの高い、感動的な本である。高橋氏は、この本により、平家の時代に呼び込まれ、石母田を越えるべく努力してきた。ここに、ついに、石…
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中西隆紀「日本の鉄道創世記」を読む。技術なし。歴史観なし。それでも技術の歴史か。

中西隆紀「日本の鉄道創世記-幕末明治の鉄道発展史」河出書房新社 2010年を読む。技術の歴史の本なのに、技術の話も、歴史哲学もない、いかにもジャーナリストが文字を連ねたただの本。こんな程度では、大学の卒業論文にもなりませんよ。 そもそも、一次史料に当たっていない。一般の著作や、いわゆる社史に類するものからの引用がほとんどを占める。…
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「アメリカ版大学生物学の教科書 1 細胞生物学」を読む。細胞についての基礎情報が豊富。

「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学」講談社ブルーバックス 2010年を読む。細胞学に関する基本的な情報が満載。とてもよくできている本。 細胞膜の機能、ATP,光合成等々の細胞レベルの生物学の基本的な情報を得るのに最適な啓蒙書。よく書けている。図表もカラーで分かりやすい。アメリカ大学教育の底力をみせつけ…
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槌田敦「「地球生態学」で暮らそう」を読む。熱力学を極めると、老荘の境地に入るのか。

槌田敦「「地球生態学」で暮らそう」(誰も言わない環境論3)ほたる出版、2009年を読む。熱力学とエントロピー理論を極めると老荘の世界にのめりこんでいくようだ。おまけに、田んぼは耕さず、糞尿を標高の高いところに上げて、地球の資源循環を助ける。立派な話だ。 著者は物理学会や他の学会でも有名人。投稿・口頭発表を拒否されたといって、裁判に…
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平川秀幸「科学は誰のものか」を読む。高校生向きの科学技術ガバナンス論の入門書。

平川秀幸「科学は誰のものか-社会の側から問い直す」NHK出版生活人新書、2010年を読む。素直な高校生向けに書かれた科学技術社会論の入門書である。 一般に科学哲学の本は、その深い歴史と蓄積の上にたち、さらに隣接分野からの刺激もあって、論点が広範囲にわたり、そして論議が深く、論理的である。それを考えると、本書は、大学生の卒業論文(ま…
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湯川秀樹ほか「場の理論のはなし」を読む。ちょっと古いんじゃない。誰が読むのか。罪作り。カタリに近い。

湯川秀樹、鈴木坦、江沢洋「場の理論のはなし 音の場から電磁場まで 」日本評論社、2010年を読む。物理の教科書も古さに埋もれていくものがあるのです。この本もその一つです。いまさら、出版するほどのことはないでしょう。 著者名が3名連記されているが、湯川は全く執筆していない。江沢がほとんどを書き直しているものと見られる。原著は1949…
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外村彰「目で見る美しい量子力学」を読む。写真100点、文章落第点。

外村彰「目で見る美しい量子力学」 サイエンス社、2010年を読む。写真は世界最高級なのだが、いかんせん、文章が悪い。これでは、専門家以外に量子力学と電子顕微鏡の面白さを伝えるのが難しい。 なぜ、こんなに文章が下手なのか。通常の会社勤めのひとなら、若いときに上司に文章の書き方をさんざん指導されるはず。日立では資料の書き方を教えないの…
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アラン・コルバン編「キリスト教の歴史」を読む。原文が複雑なのか、訳が悪いのか。

アラン・コルバン編「キリスト教の歴史-現代をよりよく理解するために」 浜名優美監訳、藤本拓也、渡辺優訳、藤原書房、2010年 を読む。フランスの伝統「クラリテ」精神に欠ける本。文章がまわりくどく、一読しても理解が及ばない。再読して原意を想像する必要がある。簡潔でなく、分かりにくい。 訳文が悪いのだろうか。きっと、訳者が正直すぎるの…
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丸山裕美子「正倉院文書の世界」を読む。奈良時代の社会を理解するのに役に立つ。

丸山裕美子「正倉院文書の世界-よみがえる天平の時代」中公新書、2010年を読む。周到な力作である。力作すぎて、正倉院を突き抜けている。対象が奈良時代の社会全般に広がっている。 もちろん、正倉院文書についての説明は詳しい。しかし、新書としては濃厚な本書の中心は、正倉院文書ではなく、奈良時代の社会を描くことにあるようだ。正倉院に保存さ…
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竹内洋「学問の下流化」を読む。京大のセンセイにしてはパンチ不足で常識的。

竹内洋「学問の下流化」中央公論新社、2008年 を読む。比較的狭い領域の対象ばかりで、意表をつく指摘も無く、新たな知見は得られなかった。常識的な評論・書評集というべきか。 1.東大コンプレックス。東大に入った人は、東大はご飯のようなもので、考察の対象にはならない。東大を落ちた人だけが、東大を対象にする。それも、屈折した感情を込めて…
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ジェイコブ「大気化学入門」を読む。化学がこんなに分かっていいのかしら。

D.J.ジェイコブ「大気化学入門」東京大学出版会、2002年を読む。あまりにもすらすら内容が頭に入ってくるので、逆に、こんなに分かっていいのかしら、と思えるぐらいだ。良書である。 大気化学、大気物理学は環境問題を考えるときの基本的な学問の一つ。非専門家でも、ある程度の学問は知っておきたいものだ。そういう人に最適な教科書が本書。この…
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中川和道ほか「環境物理学」を読む。使い物にならない能書きばかり。二流の研究者の典型的な本。

中川和道、蛯名邦禎、伊藤真之「環境物理学」裳華房、2004年を読む。二流の研究者が自己満足のために書く本の典型。他人にはちっとも役に立たない本だ。 1.そもそも、この本には物理定数の一覧表がついていない。例題の計算をしようにも、種々の定数を他の本から引っ張ってこなくてはならない。著者だちはどういうつもりでこの本を書いているのだろう…
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小林惟司「寺田寅彦と地震予知」を読む。物理学を理解できない人が寅彦を書いてはいけない。ウソばかり。

小林惟司「寺田寅彦と地震予知」 東京図書 2003年を読む。地震波のP波とS波を理解できない人が、地震と寅彦について文章を書いても説得力は無い。逆に、ウソばかりが並び、読むに耐えない。物理学の素養が無いから、物理学から寅彦を評価するどころか、自説をたてることもできない。結局、断片的な引用ばかりを並べることになる。典型的な老人のたわごと集…
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高田純「環境思想を問う」を読む。基本的な知識を教えてくれる良書。COP10出席者に読ませたい。

高田純「環境思想を問う」青木書店、2993年を読む。環境問題を歴史・哲学・倫理の面から論じるときに知っていなければならない基本的な論点について親切な説明のある良書である。環境問題に関心のある広い分野の人々が読まれることをすすめる。また、環境問題を論ずるなら、少なくとも本書に書かれていることについての知識は持っていたいものだ。 1.…
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中根ほか「科学の真理は永遠に不変なのだろうか」を読む。傲慢な大衆蔑視にもとづく独りよがりな本。

中根美知代ほか「科学の真理は永遠に不変なのだろうか-サプライズの科学史入門」ベレ出版、2009年をよむ。この分野にも大衆蔑視の研究者がゴマンといるのがわかった。 読者に向かい、「お前達の知識は間違っている」、「お前達の発想は間違っている」、「お前達の論理は間違っている」と連呼しているのがこの本。どうしてこんなに大衆蔑視の研究者が育…
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井田茂「異形の惑星」を読む。惑星ハンターの血わき肉踊る物語。異形の科学書。

井田茂「異形の惑星-系外惑星形成理論から」 NHKブックス、2003年を読む。なかなかの書き手ですね。 惑星ハンターなる人種がいるそうな。太陽系外に惑星の存在を求めて、夜な夜な望遠鏡を覗き込む。見るのはドップラー・シフト。惑星があれば、中心星は惑星により変動しているはずだ。 1995年9月までは、惑星は無いのではないかと悲観…
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須藤靖「もうひとつの一般相対論入門」を読む。これを入門と呼ぶにはちょっとキツイです。

須藤靖「もうひとつの一般相対論入門」 日本評論社、2010年を読む。同じ著者による「一般相対論入門」2005年がおなじ出版社から出ていて、本書は続編の位置づけにあるのだろう。「入門」を読まずして、「もうひとつ」をよむには、チト、きつい。 「入門」はずいぶん薄い本だった。基礎的な計算は、問題として出題されていて、その丁寧な解答が巻末…
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大谷・掛川「地球・生命ーその起源と進化」を読む。落ち着いた記述が安心感を与える。良い一般書。

大谷栄治・掛川武「地球・生命ーその起源と進化」 共立出版、2005年。落ち着いた記述で分かりやすく、安心感をもって読むことができる。とてもよい一般書だ。現代人の基礎的知識として、この本に書かれていることは知っておきたい。 読みやすいのがとてもよい。歴史と学史もほどよく触れているし、現代の最先端の現場も垣間見れる。「コラム」が話題を…
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北野康「水の科学(第三版」を読む。貰った表彰の一覧を自著にのせる人の言説が信じられるか。

北野康「水の科学(第三版」 NHKブックス、2009年 を読む。自画自賛の記述ばかりで、水の科学がちっとも書いてない本だった。できそこないの総合科学者の見本だね。 1.自分のもらった表彰の一覧を、厚顔にも、自著ののせる。おそれいった。だから、本文中にも、自分の研究のことを「勇気ある」とか、「さきがけて」と自画自賛している。科学書で…
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国語を知らない中国史の学者がいる。ひどい本ばかり出版している。

平勢隆郎(勢の字が違うかな)の本は読むたびにあきれかえる。古代中国の歴史について本を書いているのだが、どの本も、どの本も、日本語になっていない。よくもまあ、こんなひどい本を出版するものだ。編集者も同罪。著者のツラの皮の厚さにはほとほと参る。 1.先人の研究成果と読者の知識の無さばかりあげつらう。自分がいかに年代矛盾を解決したかとい…
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「佐藤勝彦最終講義宇宙137億年の歴史」を読む。東大の講義とはこんなものなのか。

「佐藤勝彦最終講義宇宙137億年の歴史」 角川選書 2010年を読む。あまりの俗っぽさに度肝を抜かれる。東大の講義とはこんなものなのか。 1.内容はどこにでもあるおはなし。数式はおろか、理論構成の論理が全くない。あるのは、一般向けの結論だけ。思考過程についての説明がまったくないのだ。これでは、「この結果をだまって受け入れなさい」と…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」を読む(2)。量子力学とはどういう科学なのか。

刺激されて考えたことを書いて見ます。 1.量子力学とは固有値を求める学問であって、固有ベクトルはこの学問の対象にはならないのだろうか。 水素原子を対象にした方程式は、そのエネルギー・レベルが計算されるだけで、電子の軌道を決定することには関心がない。一方、古典力学が、太陽系惑星の運動を対象としたとき、惑星の軌道の詳細(例えば近日点…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」語録(5)「真理」は存在しない。

(つづき) p124 さて、理論に拠って自然を認識する。これはいい。大賛成です。そのとき、出来のいい理論と出来の悪い理論がある。間違うこともある。それから理論には適用限界がある。そてに、自然をよりよく認識する、したい、これは人々がやっていることです。しかし「理論に拠って自然の真理を認識する」というのには賛成できません。真理という…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」語録(4)ベルの不等式について。

(つづき) p119 (わたしは)、ベルが仮定した普遍的な確率法則は一般には存在しない」ことを証明しました。 特に「ベルのモデル」を「量子力学」に使う場合には、それは存在しない。 だから「ベルのモデル」は間違いだ、ということです。 言い換えれば、ベルの命題1は間違いを前提にしている。だから元々命題1は意味のないもの…
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保江邦夫「量子の道草」を読む。保江クンも自伝を書く歳になったかぁ。

保江邦夫「量子の道草-方程式のある風景」(増補版) 日本評論社、2009年を読む。量子論の確率論的基礎付けに関する基本的な書籍だろう。 読みはじめて、第一に感じたことは、保江クンも年をとったなぁ、ということ。堕落したものだ。 アウトバーンを190キロで飛ばして、天啓を受けた、とおっしゃる。UFOが乗りうつった、といわないとこ…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」語録(3)相対論的量子の運動。

つづき。 p110 このような相対論的な量子的粒子の運動は次のように考えることもできます。ジャンプしたところでその粒子は死に、その瞬間に別の所に生まれる、再生するのです。 これを繰り返す。死と生の絶えざる繰り返し。しかし同じものに生まれ変わる。 p113 古典力学:古典的粒子は光の円錐(ライトコーン)の外に出ない。…
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村上陽一郎「人間にとって科学とは何か」を読む。村上センセイもご隠居さんになりました。

湯川秀樹,梅棹忠夫の対談書「人間にとって科学とはなにか」中公新書、1967年、を覚えている人はもう老人です。同名(「何」が当時はひらがなだった)の書を思い出して感慨にふけった。 1.湯川の時代は科学が輝いていた。科学に楽観していた。それから、はや、43年。光陰矢のごとし。時代のあまりの変化に、ただ、おろおろするばかり。 2.…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」語録(2)量子的粒子の運動は確率過程である。

長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」からの引用です。 電子の運動の新しい理論は、数学としては確率過程そのもの、すなわち確率過程論の物理学への応用です。これは、古典的な粒子の運動の理論、すなわちニュートン力学が微分積分学の物理学への応用であるのと同じじじょうです。ですから、新しい理論は、易しいとは言いませんが、難しくない。新…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」語録(1)量子的粒子の運動は滑らかでない。

長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」からの語録です。 もし電子の運動が滑らかならば、ニュートン力学が使えるはずです。ところが量子的粒子の運動をニュートン力学を使って計算すると実験と合わない、矛盾する。 さて、それならば「量子的粒子の運動は滑らか」という前提を疑って、「量子的粒子の運動は滑らかでない」と考えて良いのではない…
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長澤正雄「シュレーディンガーのジレンマと夢」を読む。量子力学ファンは見逃せない革命的な本。

「量子力学オタク」と呼ばれる一群が世の中に存在する(と思わざるをえない)。その証拠に、量子力学の本、とくにその解釈問題に関する啓蒙書があふれるほど出版されている。 「シュレーディンガーの猫」、「多世界解釈」、「ベルの不等式が反証された」、「二重スリット問題」。。。。 そう、アインシュタインの論文で、引用された件数の最大なもの…
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