ニュートンはどのように万有引力の法則を見つけたか

ニュートンはその著「プリンキピア」で、月が地球に落下している距離を計算して万有引力の法則、すなわち、逆二乗則を導いた、といわれている(原著または翻訳未見)。それをなぞってみよう。

月は1秒間にどれだけ地球の方向に落下しているか。
地球と月の距離を r、月の公転速度を V' とする。(添付図参照)
T は月の公転周期 T = 2.36*10^6 (sec) から、月の公転速度は、
     V' = (2πr)/T
で与えられる。これがすなわち、一秒間進む距離だ。 V とおこう。

引力がないとすると、月は接線方向に移動するので、一秒間に、添付図で、BCの距離だけ進む。
しかし、月は円運動しているから、Cではなくて、A の位置に落ちているはずである。
長さCA が落下距離 x である。これを求めよう。

図において、三角形OBC に三平方の定理を適用すると、
     CO^2 = OB^2 +BC^2
これを書き換えると、
     (x + r)^2 =r^2 +V^2
左辺を展開して、x^2 の項を無視すると、
     2xr = V^2
すなわち、
     x = V^2 / (2r)

数値を入れよう。(月の公転半径は分かっているものとする。)
     r = 384,000,000 (m)
     V = (2πr)/ T ・t = 1022 (m)
よって、一秒間に
     x = 0.00136 (m)
だけ月が地球の方に落ちているわけである。

一方、地上においては、重力加速度g をもちいて、一秒間に落下する距離 y は、
     y = (1/2)g・t^2
に t=1 と g = 9.8 (m/sec) を代入すると、
     y = 4.9 (m)
となる。

それでは、本題の引力と距離の関係式を求めてみよう。
地球の半径をR として、上記の落下距離の比 x/y が、地球中心からの距離の比 r/R のn 乗に比例するとする、すなわち、下記のように置いてみよう。
     (0.00136 / 4.9) = ( r/R )^n
この式を n について解くと
     n = log( 0.00136/4.9 ) / log( r/R )
これに数値
     r = 3.84*10^8 (m)
     R = 6378000 (m)
を代入すると、
     n = -1.9985
が得られる。
すなわち、逆二乗則 n = -2 が予想されるわけである。

月が地球に落ちている。どれだけ落ちているか計算して、万有引力が逆二乗則になる。なんというすばらしい発想か。ニュートンの偉大さがここにもあらわれている。

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