高田純「環境思想を問う」を読む。基本的な知識を教えてくれる良書。COP10出席者に読ませたい。

高田純「環境思想を問う」青木書店、2993年を読む。環境問題を歴史・哲学・倫理の面から論じるときに知っていなければならない基本的な論点について親切な説明のある良書である。環境問題に関心のある広い分野の人々が読まれることをすすめる。また、環境問題を論ずるなら、少なくとも本書に書かれていることについての知識は持っていたいものだ。

1.歴史的には、ベーコン、デカルト、カント、マルクス等の西洋思想と環境の問題に遡り、近代の「人間中心思想」の内容と問題点が説明される。

2.現代の環境思想についても、自然観の変遷をつうじて、西洋および発展途上国の人々の発想・提案が丁寧に説明されている。

3.最近の「持続可能な発展」、「持続可能な社会」の考え方の出てきた経緯とそれに対する批判も紹介されている。

4.それ以前に、用語の解説がしっかりしている。「環境哲学」とは「自然環境とはなにか、自然のなかで人間はどのように位置づけられるか」を明らかにするもの。それにたいし、「環境倫理」とは、「人間は自然環境にどのように関わるべきか」を明らかにする。

近年の環境に関する議論を見ていると、「科学=現状分析」と「哲学=価値観に基づく評価」と「倫理=なにをすべきか」の混同がみられる。本書のような哲学書をよむと、問題の所在に対する考察の手引きとなる。

5.本書は小冊子だが、議論は多岐にわたり、内容も深い。本書で記述されているような事柄は、環境問題を論ずるときの共通グランドとなるべきものである。

広く読まれることを願ってやまない。

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