書評「まだ科学で解けない13の謎」。世の中は変則事象ばかり。だから科学は面白い。

マイケル・ブルックス「まだ科学で解けない13の謎」草思社、2010年、を読む。発想の自由性を謳歌する楽しい本だ。まさに「科学は不確かだ」。科学は人間の創作物だったのです。

暗黒物質・エネルギーや宇宙人からの信号「ワオー」などは夙に有名だ。しかし、有性生殖が無性生殖より優位である証拠はないとか、「死」の存在は科学的に立証されていないとか、「自由意志」の存在を脳科学が否定しつつあるなどを読んでいると、わらられが鋭意培ってきた科学的活動の存在価値さえ問われる。プラシーボ効果は個人的には認めたいが、それならホメオパシーはどうなのだ、と聞かれれば、自分の論理に迷いが出てくる。

科学とはこのように不確かな知的営みなのか。

本書は科学哲学を根底から揺るがすものではないのか。ニュートンの逆二乗則が否定されたし、微細構造定数が変化する世界を科学が構成したら、科学の意味はなにか、再検討しなくてはならない。そして、なんのために科学をするのか、という科学哲学を再構成しなくてはならない。

科学とはなにか。科学とは、人類の勝手な創作物であって、現実世界を正確に反映しているものではない。芸術と変わりはない。そんな結論を言いたくなるような気分になってきた。

ともあれ、知的自由性を楽しみたい人に本書をすすめる。

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書評。トホーフト「サイエンス・ファクション」。常識を超えない保守的な本。副題は間違い。
http://44579446.at.webry.info/201102/article_73.html

田中正「物理学と自然の哲学」を読む。ステレオタイプ思考を正す深い本。
http://44579446.at.webry.info/201101/article_70.html

ファーメロ編「美しくなければならない」を読む。物理学帝国主義の世界制覇を再確認。
http://44579446.at.webry.info/201101/article_24.html

ウォイト「ストリング理論は科学か」を読む。実験で支えらない物理理論はあるか。
http://44579446.at.webry.info/201101/article_20.html

中山康雄「科学哲学」を読む。こんなつまらない説明では、初心者はみんな逃げていってしまいます。
http://44579446.at.webry.info/201012/article_71.html

「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由-フェルミのパラドックス」。思考法を論理を鍛える本。
http://44579446.at.webry.info/201012/article_21.html

平川秀幸「科学は誰のものか」を読む。高校生向きの科学技術ガバナンス論の入門書
http://44579446.at.webry.info/201010/article_56.html

中根ほか「科学の真理は永遠に不変なのだろうか」を読む。傲慢な大衆蔑視にもとづく独りよがりな本。
http://44579446.at.webry.info/201009/article_18.html

井田茂「異形の惑星」を読む。惑星ハンターの血わき肉踊る物語。異形の科学書。
http://44579446.at.webry.info/201008/article_141.html

村上陽一郎「人間にとって科学とは何か」を読む。村上センセイもご隠居さんになりました。
http://44579446.at.webry.info/201008/article_78.html

池内了「科学の落し穴」を読む。常識的な、あまりに常識的な。
http://44579446.at.webry.info/201008/article_51.html

松原隆彦「現代宇宙論」を読む。保守的な内容だがしっかり読ませる基本的教科書。
http://44579446.at.webry.info/201008/article_26.html














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