新燃岳爆発の「空振」は衝撃波shock wave による。流体力学のお勉強(その31)。

新燃岳が噴火してその「空振」によりガラスが割れて怪我人が出た。この「空振」とはなにか。これは爆発現象にともない衝撃波(ショック・ウエーブ)が発生し、そのステップ状の急激な圧力上昇により生じたものです。強い爆発の物理学について復習してみましょう。

強い爆発に関するパラメータは、爆発のエネルギー E と気体の密度 ρ1 だけである。他の物理量は1次的ではない。独立な変数は、時間 t と径方向の座標 r である。(球対称な爆発を考えている。)この組合せでできる唯一の無次元パラメータは、
     ξ = r ( ρ1/(E・t^2) )^(1/5)
であり、自己相似な流れと仮定できる。この無次元量ξ は、エネルギーから決まるそれをξ0 とする。

爆発地点(原点)から衝撃波までの距離を r0 とすると、次元解析から、それは次の式で表される。
     r0 = ξ0 ・ ( E・t^2/ρ1 )^(1/5)
よって、衝撃波の速度 u1 は、

     u1 = dr0/dt = (2/5)・(r0/t)
       = (2/5)・ξ0・(E/ρ1)^(1/5)・t^(-3/5)
       = (2/5)・ξ0^(5/2)・(E/ρ1)^(1/2)・r0^(-3/2)

すなわち、u1 は、t^(-3/5) または r0^(-3/2) の割合で減少する。

衝撃波の後ろ(衝撃波が過ぎた後。衝撃波より山側)での物理量はどうなっているか。圧力 p2、密度ρ2、および速度v2 (固定座標系=地面における気体の速度)は、空気の比熱比をγ とすると、

     p2 = 2・ρ1・u1^2/(γ+1)
     ρ2 = ρ1・(γ+1)/(γ-1)
     v2 = 2・u1/(γ+1)

となる。衝撃波後方の密度ρ2 は時間 t に関して一定であり、速度v2はt^(-3/5)で減少し、圧力p2 はt^(-6/5) で減少する。
また、衝撃波による圧力は爆発のエネルギーE に対して E^(2/5) で増加する。

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補足
u1 は衝撃波の地面に対する速度。
v2 は衝撃波が過ぎた後の「風」の速度。

上記の定式化と解は英国の G. I. Taylor と当時ソ連の L. I. Sedov が発見した。

数式再掲。

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衝撃波により圧力は急激に上昇します。流体力学のお勉強。(その30)
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衝撃波の角度とくさびの角度の関係。流体力学のお勉強。(その29)
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衝撃波とマッハ・コーンは別物(再論)。流体力学のお勉強。(その28)
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衝撃波Shock wave の形状は飛行速度により変化します。流体力学のお勉強。(その27)
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海の波の不思議。流体力学のお勉強。(その26)
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超音速で飛行する時の衝撃波形状。流体力学のお勉強。(その25)
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衝撃波とマッハ・コーンとは別物。流体力学のお勉強。(その24)
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衝撃波(ショック・ウエーブ)の誤解。流体力学のお勉強。(その23)
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ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その20)
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ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その19)
http://44579446.at.webry.info/201008/article_60.html

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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その6)
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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その5)
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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その4)
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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その3)
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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その2)
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FIFAワールドカップ ぶれ球はなぜ起こるか。流体力学のお勉強。(その1)
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