ファーメロ編「美しくなければならない」を読む。物理学帝国主義の世界制覇を再確認。

グレアム・ファーメロ編著「美しくなけらばならない-現代科学の偉大な方程式」紀伊国屋書店、2003年を読む。物理学帝国主義者は、物理の方程式を美学から肯定的かつ一方的に論ずるのが好きだが、この本は、物理学に限らず、通信、化学、生物学(ゲーム理論)、カオスにまで手を広げていることが評価される。ただし、結局は物理を対象とするものばかりで、物理学帝国主義の剣が衣の影から見え隠れしている。

扱っている方程式は、以下のものである。
1. Plank-Einstein E = h・nu
2. Einstein E = m・c^2
3. Schrodinger H・Ψ = E・Ψ
4. Dirac
5. Shanon I -p logp, C = W log (1 + S/N)
6. Logistic Xn+1 = a (1 - Xn)
7. Game Theory
8. Molina-Rowland
9. Drake N = fa・ ne・ fl・ fi・ fc・ L
10. Einstein General Relativity Rab + (1/2)R・ gab = -8pi・G・Tab
11/ Yang-Mills df/dx + 2e(b x f) + J = 0

再度このリストを見ると、やはり、物理学帝国主義がこの世界を制覇していることを認めざるを得ない。

各項目の著者は、準一流から超一流まで。特に、Roger Penrose はさすがに良い文章を書いている。「重力の再発見」という題名でアインシュタインの一般相対性理論を説明しているが、世に出回っている一般相対論の説明のなかでもこの文章は白眉であろう。この部分だけでもとりだして、単独な本とする価値がある。項目を改めて紹介しよう。

ワインバーグがあとがきを書いている。これは、あとがきというより、むしろ、総論だ。方程式の時代依存性を書いていて、なかなか肯ける。アインシュタインは、物理学から重力方程式を出したのではなく、数学的な簡潔性から方程式を書き下ろしたのだ。ワインバーグは言う。「彼は、その式が二階偏微分方程式でなければならないという、数学的に単純な仮定を勝手に取り入れた。
ディラックの方程式についてもワインバーグは、「一般に方程式なるものが当てはまる理由と条件に対するわれわれの認識が変化したばかりか、何についての方程式かという理解まで一変したのである。」(p.400)


最後に、本書と似た発想のもとに書かれた著作を紹介しておこう。Chandrasekhar の文学の素養には頭が下がる。保江センセイとペンローズやワンバーグを比較するのは罪つくり。
1.S. Chandrasekhar, Truth and Beauty: Aethetics and Motivation in Science, The University of Chicago Press, 1987.
2.保江邦夫、量子の道草 増補版-方程式のある風景、日本評論社、2009年。

画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック