ウォイト「ストリング理論は科学か」を読む。実験で支えらない物理理論はあるか。

ピーター・ウォイト「ストリング理論は科学か-現代物理学と数学」青土社、2007年を読む。ストリング理論懐疑派が提示する「物理学とは何だろうか」である。

ウォイトはいう。
「スーパーストリング理論が予測をまったく出さない根本的な理由は、それが実際には理論ではなく、理論が存在すると期待するための集合だと言うことである。」(p.230)

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ウォイトが引用する物理学者の言説のいくつかを紹介しよう。

「スーパーストリングなどという代物はとんでもなくて、方向が間違っていると思いと言っておけば、もしかしたら、後世の歴史家を喜ばせることができるかもしれません」(ファインマン、p.228)

「何も計算しないところが気に入りません。その考え方を確かめないのが気に入りません。実験と一致しないこと、なにについても説明をこじつけるところが気に入りません。」(ファインマン、p.228)

「ストリング理論は予測をしないで言い訳をしている。」(ファインマン、p.229)

「スーパーストリング理論は、自然に関する何らかの魅力的な仮説の集合から出てくる論理的な帰結ではない。」(グラショウ、p.229)

「ストリング思想は、物理学科よりも、数学科とか、あるいはさらに神学科の方にふさわしいのではないか。」(グラショウ、p.229)

「私はストリング理論を「理論」と呼ぼうという気にはならず、むしろ「モデル」、あるいはそれでさえなく、ただの勘と言いたい。」(トホーフト、p.230)

「スーパーストリング理論は、Theory of Nothing だ。」(クラウス、p.242)

「ストリング理論は、物理学の理論として失敗した。ストリング理論の危機は、それが長距離での物理をまったく説明できない、あるいは予測できないところである。ストリング理論は実在世界に関する既知の知識をはっきりと説明することもできず、明瞭な予測もしない。ストリング理論には、物理学理論候補としての信用がない。」(フリーダン、p.242)

「M理論は名前が間違っている。それは理論ではなく、理論が存在することをうかがわせる事実と論拠の集合である。」(バンクス、p.230)

「その神秘的姿勢にもう一つ加えると、M理論とい言葉を考えた教祖は、Mがなにを表すか明かしていない。マザーのM?メンブレーンのM?私には、マスターベーションのMというのがいちばんぴったりなように見える。」(マゲージョ、p.248)

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物理学とはなにだろうか。現象を予測し、実験で検証される。それが物理理論ではないだろうか。それができないものを理論とよぶべきだろうか。朝永先生だったらなんというのだろうか。

ウォイトの言説およびウォイトが引用する物理学者のことばがなにをさしているのか、当方はこの分野の専門家ではないので、正当には評価できない。しかし、理論と実験との対応がなかったならば、自然科学とはいえない。今後の動きを注視しよう。

ともあれ、刺激的な、物理学の本質を問う本である。

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