天王星に行く方が海王星に行くよりエネルギが必要。ホーマン軌道の不思議

惑星間航行にはホーマン軌道(Hohmann transfer orbit)を使うのが、エネルギを最小にする意味で、最適です。しかし、面白いことに、天王星(AU=20)に行く方が、それより遠い海王星(AU=30)に行くよりエネルギが必要なのです。計算で確かめて見ましょう。

地球の軌道を円と仮定し、その半径を a1 とします。外惑星の軌道も円と仮定し、その半径を a2 とします。それぞれの周回速度を V1, V2 とします。(添付図参照)

遷移にもちいるホーマン軌道の半長径を a、離心率を e とし、近地点の速度を Va、遠地点の速度を Vb とします。

すると、幾何学的な関係式
          a(1-e) = a1
          a(1+e) = a2
          Va = Sqrt( (mu/a)・(1+e)/(1-e) )
          Vb = Sqrt( (mu/a)・(1-e)/(1+e) )
が成り立ちます。ここに、mu = G・m (G:万有引力定数、m:衛星の質量)です。

上記の式より、e = (a2-a1)/(a2+a1) なので、これをつかって、
          Va =Sqrt( (mu/a1)・(1+e) )
            = V1・Sqrt( (1+e) )
            = V1・Sqrt( 2・a2/(a1+a2) )
          Vb = Sqrt( (mu/a1)・(a1/a2)・(1-e) )
            = V1・Sqrt( (a1/a2)・2・a1/(a2+a1) )

以上より、速度の増加のさせ方は、A点において、最初の V1 から Va に増加させ(A点をホーマン軌道の近地点とする)、つぎにホーマン軌道の遠地点Bにおいて、さらに、Vb から V2 に増速させることになる。式で書くと、
          deltaV = (Va - V1) + (V2 - Vb)
              = V1・(Sqrt( (2・a2)/(a2+a1) ) - 1 + Sqrt(a1/a2) - Sqrt( (a1/a2)・2・a1/(a2+a1) )
              = V1・( Sqrt(2・a2/(a2+a1) ・ (1-(a1/a2) + Sqrt(a1/a2) 1 )
が得られる。
a1/a2 を横軸に、deltaV/V1 を縦軸にグラフを書くと下の図のようになる。図より分かるように、

          a1/a2 = 0.06418   または、  a2/a1 = 15.18

において最小値を取る。

すなわち、地球からは AU = 15.18 の惑星に行くのが一番エネルギが必要となる。

面白い結果だ。

画像


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金星探査機「あかつき」の軌道計画を参考に、惑星へ行こう。冬休みの自由研究にどうぞ。
http://44579446.at.webry.info/201012/article_75.html

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