小島寛之「数学で考える」を読む。本書は数学の本。それも数学基礎論の本です。

小島寛之「数学で考える」 青土社、2007年を読む。本書は経済学の本というより、数学の本といって良い。面白いのは、初出が「SFマガジン」や「文學界」なのに、本の内容が、純粋に数学の本となっていることだ。それも数学基礎論。

年金問題が「ヒルベルトのホテル」を表している、ということは容易に想像できた。「無限の魔力」を使って、ところてん方式で押し出せば、部屋はいくらでも作り出せる。(p.48)

中間値の定理」も「平均値の定理」も「デーデキントの公理」も「連続函数の積分可能性定理」も「最大値の定理」も「閉空間のコンパクト性」も、すべて同一内容で同値だ、ということは、まさに、数学基礎論そのものである。数学好きでもここまで徹底した認識はなかなかもてない。本書が数学書であるゆえんだ。(P.83)

圧巻は数学に対する認識。
「実数論の同値命題たちは、公理論的には遜色のない形で、テクノロジーとしての有用性を高めるイノベーションの過程なのではあるまいか」(p.85)
「実数論は、単なる純粋思弁の戯事ではなく、新しい知覚を求めて行う技術革新の科学、そう捉え直すこともできよう。」(p.85)
この言説を評価できる経済学者がいるとは考えられない。数学者でも少ないだろう。

そう、数学に対する認識を根底から変えさせる視点がこの本にはある。そんな革命的な言説がちりばめられている。そんじょそこらの数学書を上回る数学書だ、と小生が評価するゆえんである。

本書は数学書の本棚におかねばならない。

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小島寛之「確率的発想法」を読む。本書は数学の本ではありません。経済学の本です。
http://44579446.at.webry.info/201012/article_19.html

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