「アメリカ版大学生物学の教科書 1 細胞生物学」を読む。細胞についての基礎情報が豊富。

「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学」講談社ブルーバックス 2010年を読む。細胞学に関する基本的な情報が満載。とてもよくできている本。

細胞膜の機能、ATP,光合成等々の細胞レベルの生物学の基本的な情報を得るのに最適な啓蒙書。よく書けている。図表もカラーで分かりやすい。アメリカ大学教育の底力をみせつける典型的な本だ。力量と不断からの教育材料収集の努力がなければなかなかこのような本は書けない。研究対象として十分な知識があっても、学生・一般者を読者にする本がすぐに書けるわけではない。良い材料を集めておくには時間と努力がいる。

生物学の学問的な性格なのだろうか。「観察」に関することは良く書けている。「構造」の説明もくわしい。変化のプロセスも良くわかる。

しかし、なぜそのような変化が必然なのか、なぜそのように結論付けられるのか、と言った説明は希薄。力学のような「計算」がまったくない。観察結果を整理して、論理構成を若干気をつけて、現状がこのようになっている、と説明する。これが生物学の方法なのだろうか。

物理学との橋渡しは、この本では不得意なようだ。ポテンシャル・エネルギーの説明など稚拙。熱力学(自由エネルギー等)、量子力学(エネルギーの励起状態)との関連の説明が本書の弱点だ。

実験についても説明不足。実験・観察を中心とする学問のはずなのに、記述が少ない。てっとりばやく、学生に結果だけを教えたかったのか。「プロセス」を重視した、「生物という論理」の解明をどのような手段でするか、という観点が書けている。

翻訳は、あまり良くない。「産生」などという日本語を勝手に作り出している。生産で良いのに。また、「経路」のつかいかたもおかしい。これはプロセスの訳に違いない。「経路」では意味が通じない。

結論。図表を見ているだけでたのしい。細胞レベルの基礎知識収集には最適な本として、すべての人にすすめる。

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