丸山裕美子「正倉院文書の世界」を読む。奈良時代の社会を理解するのに役に立つ。

丸山裕美子「正倉院文書の世界-よみがえる天平の時代」中公新書、2010年を読む。周到な力作である。力作すぎて、正倉院を突き抜けている。対象が奈良時代の社会全般に広がっている。

もちろん、正倉院文書についての説明は詳しい。しかし、新書としては濃厚な本書の中心は、正倉院文書ではなく、奈良時代の社会を描くことにあるようだ。正倉院に保存されている文書から、奈良の歴史と社会の全体像に迫る、そんな本と位置づけられようか。

説明は懇切丁寧である。しっかりと基礎事項についての説明がある。難読名詞にはルビもきちんと振られている。内容も詰まっていて、隙が無い。立派な本である。現物の写真がしっかり載っている。過不足ない。

しかし、立派すぎて、逆に、すこし息が詰まる。濃厚ジュースを飲んでいるようだ。すこし薄めて、ウイスキーでもたらして、のんびり読みたい。いや、この著者はまじめ一方なのだから、冗談は言わずに、正座して読むべきかな。おこられないように。

秀逸だったのが、庫外流出文書の経緯と行方の追及のくだり。なかなか推理小説仕立てで読ませる。むかしからいろいろな人がいたのです。

新書だが、重厚な研究書に近い。非専門家でも、しっかり読める。古代日本の精神的豊かさを再確認した。

良書である。

画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック