カーナビの精度を上げるのには DGPS がよい。「みちびき」の使用は疑問だ。

人工衛星「みちびき」が打ち上げられて、それがカーナビの精度向上に役立つと報道されている。専門家も本当にそのように考えているのだろうか。

1.カーナビ(一般に位置測定)の精度向上は Differential GPS が効率が良い。位置の分かっている基地局からの誤差情報を利用すれば、「みちびき」利用によるもの以上の精度向上が期待できる。すでに DGPS は多方面で利用されている。

2.DGPS は国土地理院のGIS基準点を使えば良い。基準点は日本中に多数あり、国土内なら密度高く利用できる。システムも安価だ。これら基地局から発信する電波の周波数領域に問題は無い。

3.DGPS 構築の経費と QZSS(「みちびき」を3個打ち上げるシステム)打ち上げと維持の経費を厳密に比較してもらいたい。多分、前者が安価となろう。

4.「みちびき」システムと米国GPSシステムとの整合性はどうなっているのか。おなじ形式のデータを二つの国の衛星で送ってよいのか。たとえば、時刻補正を地上局から、人工衛星の原子時計に送っているが、この日米の整合性は取れているのか。電離層は対流圏大気の補正データについても日米の調整はついているのか。変更する場合は、どちらがイニシャチブを取るのか。ようするに、制御本部が二つあるシステムはなりたたない。

人工衛星打ち上げ技術と衛星運用技術を国産で持つ必要性は認める。しかし、「みちびき」の役割については、カーナビ(一般に位置測定)の精度向上をその目的とすることには疑問を感じる。

「みちびき」は気象衛星として使うべきではないか。

***********
人工衛星「みちびき」の効能はカーナビだけではない。
http://44579446.at.webry.info/201009/article_17.html

++++++++++++++++++++++
2010年9月29日追記
測地精度を決める最大の要因は、天頂に近い衛星からの信号ではなく、仰角の小さい衛星からの信号ではないか。
その意味で、ある程度以上仰角の大きい(天頂に近い)GPS衛星が飛んでいるときには、天頂部に「みちびき」があっても精度向上にはならない。
(仰角の小さい衛星を使わないようなソフトにしておくソフトもある。要するに、衛星の数を多くすればよい。)
(それなら、DGPS が、やっぱり、安価で効率的。)

衛星「みちびき」の誤解。3機ではダメ。GPSシステムをしっかり勉強しよう。
http://44579446.at.webry.info/201009/article_62.html



画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

jr7cwk
2010年11月04日 02:00
私も十分な知識があるわけではありませんが、カーナビ以外にもGPSレシーバやロガーをいくつか所持して使用している経験から・・・

>DGPS
「みちびき」が打ちあがる前に既にDGPS用の衛星(SBASと言われ、日本の衛星はMTSATという静止衛星)が2機稼動中である事はご存知でしょうか。
元々航空機の誘導が主目的ですが、民生のGPS機器もこれに対応しているものがあります。

また既存のGIS基準点を利用しては、との事ですが、問題はその補正情報を何で伝えるか、です。
携帯電話なら電話回線を利用出来ます。
カーナビに関しては以前はFM多重放送を利用していた事がありますが、廃止済。
船舶用の中波の補正情報は現在も利用可能ですが、内陸部まで電波が届きません。
DGPSやQZSS衛星は、この補正情報を伝達する為の手段のはずです。

>時刻情報
現在の各国の時刻情報はGPS衛星を利用して照合する事で成り立っているそうです。
詳しくは下記サイトを参照下さい。(下記サイトの機関もQZSSに関与しています。)
http://jjy.nict.go.jp/

>測地精度を決める最大の要因は、天頂に近い衛星からの信号ではなく、仰角の小さい衛星からの信号ではないか。
残念ながらビル外やがけの近くなどは仰角の小さい衛星は受信出来ません。
(測位に必要な最低4機の衛星を受信する事すら不可能)
またビル等による反射波が生ずる事で誤差が生じます。
その対策が天頂近くに衛星を配置する目的です。

2010年11月04日 20:51
jr7cwk さま、
コメントありがとうございます。こちらも勉強になります。
1.MTSAT のことは聞き及んでいます。しかし、成果が出た、との発表は聞いていません。
2.「カーナビ+FM電波による補正」が廃止されたことも知っています。なぜ、やめてしまったのでしょうか。FMは周波数が高くてローカルにしか届かないので、長波(電波時計)や中波(船舶用)に比べ、カーナビの補正に適していると思うのですが、残念です。
3.GPSの時刻情報は、精度の極めて高い原子時計をさらに米国地上局で誤差情報をアップリンクして、さらに制度の向上を図っているので、精度抜群です。逆に、日本独自の時刻管理を、米国と平行することは、良策ではありません。
4.ご指摘のようにQZSSはビルによるGPS電波の反射にともなう精度低下対策が主目的です。しかし、
(a)QZSSとて仰角が低い場合がある。4機の衛星を使うとき、QZSS(1機)が他の3機のGPS衛星より仰角の低い時間は一日の何パーセントになるか。計算できるはず。これが大きいとQZSSの存在意義はない。
(b)GPS衛星を3機増やすのと、QZSSを3機増やすのは、どちらが得か(打ち上げ費用と運用費用)。これも計算できる。こっちの方が、低い仰角の衛星を減らせるのではないか。
5.最大の問題点は、GPSとの整合性。同じ周波数、同じ内容の電波をQZSSから出すのか。違う周波数の電波をQZSSから出さすとなると、受信機が複雑となる。三角測量の計算も複雑となる。
要するに、米国が作ってしまったGPSのシステムに、たとえ一部であっても、割り込むことは、技術的に成果があまりない、ということではないでしょうか。
またご教示ください。
jr7cwk
2010年11月08日 00:14
返信が遅れまして申し訳ありません。

>MTSAT
MTSAT(MSAS)の公式サイトとも思われた「神戸航空衛星センター MSAS」のサイトが無くなってしまったので、少々説明に困ってます。
今探せる情報はこんなところです。(やや古い情報)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/12/120121_.html
http://www.aoisonic.com/waas/waas.htm
http://www.enri.go.jp/~sakai/pub/symp06_msas.ppt

航空用の古い電波航法システムの置換えを念頭に、位置情報を補正する信号の他に、GPSの信号単体にはなかった「GPS信号の信頼性に対する情報」(ある衛星の信号に異常が発見された場合に、その衛星の信号を使用しないように、といった情報)が追加されているようです。

いずれにしても米のWAASや欧州のEGNOSと同等のシステムという位置づけのようです。
また、「みちびき」の前に既に「GPS衛星」の技術・運用実績がある、という事も意味すると思います。

なお、
>カーナビ(一般に位置測定)の精度向上は Differential GPS が効率が良い。
について、若干意見を追加しますと・・・
・MTSATによるDGPSは、赤道の上空の静止衛星である事から、日本では衛星の仰角が低目であり、ビル街では使用できないのが実態。
・建設現場で使用される複数のGPSレシーバを使用するDGPSは、測位に時間がかかる為に移動体には向かない。
といった事情があります。

長くなりますので、まずはここまで。
jr7cwk
2010年11月08日 00:18
つづきです。
2.「カーナビ+FM電波による補正」が廃止されたことも知っています。なぜ、やめてしまったのでしょうか。
下記サイトをご覧下さい。
http://sociosys.mri.co.jp/ITS/member/clip2006/2006_04/060420_04.html
カーナビの場合、ジャイロやマップマッチングが使用可能ですので位置情報を拡散する「SA」が解除された時点で精度は十分(当時は)という判断だったのだと思います。
実際の所、補正の為にGPSの他に「別のFM受信機」を用意しないといけないので、カーナビ以外(特に携帯用途)では使用しにくいと思いますし、GPS衛星が4機受信できた状態でなければ補正も不可能なので、都市部のビル街の中や、がけの近くでは意味のない補正方法です。


3.GPSの時刻情報
>GPSの時刻情報は、精度の極めて高い原子時計をさらに米国地上局で誤差情報をアップリンクして、さらに制度の向上を図っているので、精度抜群です。逆に、日本独自の時刻管理を、米国と平行することは、良策ではありません。
先に書いたように、技術・運用は既にMTSATで実績がある、という事になると思います。
当然、米のGPS衛星の時刻情報を参照しながら(トレーサビリティ確保)の運用がなされるはずです。

つづく
jr7cwk
2010年11月08日 00:20
4.精度対策
>(a)QZSSとて仰角が低い場合がある。
QZSSはあくまで既存のGPS衛星を「補完する」という位置づけであり、QZSSだけで測位しようという思想ではないはずです。
3機必要というのは、日本の天頂付近に必ず1機ある、という体制を作る為。


(b)GPS衛星を3機増やすのと、QZSSを3機増やすのは、どちらが得か
QZSSは既存のGPS衛星(民生用)の部分だけでなく、次世代の高精度GPS信号を実験する意味合いもあり、既存のGPSと互換性のある電波を送信する機器の他に、次世代の信号用の機器が搭載されている分の衛星本体の費用が高くなってしまっているものと思います。

テレビがモノクロ、カラー、デジタルと進化し、携帯電話がアナログ、デジタル、CDMA(3G)と進化してきたように、GPSの信号の進化を目指していると理解しています。
従来規格と全く同じGPS衛星であれば、技術的進歩もない、という事ではないのでしょうか。
(それを日本が先取りしてやる必要がない、とおっしゃるのであれば、何も申すことは無くなりますが。)
QZSS衛星1機の費用でGPS衛星3機打ちあがるんじゃないか、という意図かも知れませんが、私はその辺の費用に関する調査は行った事がありません。(すいません)
jr7cwk
2010年11月08日 00:23
>こっちの方が、低い仰角の衛星を減らせるのではないか。
単に数を増やしても日本上空に「常に」見える衛星を増やせる訳ではないと思います。
GPS衛星は1つの軌道に4つの衛星があり、それが6つの軌道で運用されていると認識しています。例え日本上空のみ通過する軌道で3機追加しても、ビルにより天空が45度しか開けていない状況では、45/360×3=0.375となり、一日のうちざっと1/3位の時間しか衛星が見えない事になります。
そこで今回のQSZZは静止軌道を変形させた、日本上空に留まって見える時間が長い軌道に乗せる事で3機で日本上空に確実に1機見えるという環境を構成しようとしているようです。(もちろん、その軌道に単なる「GPS衛星」を乗せるという、方法もあるのでしょうけど・・・)
jr7cwk
2010年11月08日 00:23
5.GPSとの整合性
>最大の問題点は、GPSとの整合性。同じ周波数、同じ内容の電波をQZSSから出すのか。
既存衛星と同じ(互換性のある)電波と、全く違う電波(こちらが実験用)の両方が送信されるようです。

元々GPSの電波は「スペクトル拡散」(携帯電話のCDMAのような)といわれる、電波の周波数を決まった乱数パターンで拡散する方式であり、信号間の混信が起こりにくい方式で、全ての衛星が同じ周波数帯に収まっています(一般に開放されている民生用波分)。

この「乱数パターン」(PRN)がテレビでいうチャンネルにあたり、衛星毎に決められています。
既存のGPS衛星は1~32,WAASやMTSAT等のSBAS衛星が128~,QZSSは180台(GPS互換),190台(拡張信号)になっているようです。
(既存のGPS受信機は、このPRNがSBASあたりまでしかサポートしていない為に、現状のままではPRNが180台のQZSSを「認識」しない という事のようで、QZSSに対応する為のファーム変更が必要という事のようです。 なおレシーバ自体、元々何十チャンネル(最近のもの)の並行受信処理が可能なので、1衛星増えたからと言ってチャンネルが不足する、なんて心配もないものと思います。)


実際には既存のGPS衛星による測位に影響しないかを確認しながら、徐々に送信出力を上げてきた、という事がjaxaのサイトで紹介されています。
jr7cwk
2010年11月08日 00:24
>違う周波数の電波をQZSSから出さすとなると、受信機が複雑となる。三角測量の計算も複雑となる。
従来のGPSによる測位精度では不足する、超高精度な用途を狙った話になるので、若干高価になるのはいたしかたない面があるものと思います。(先にも書いたテレビや携帯電話の進化例のように)
しかし、独自の周波数にする事で既存のGPSシステムにとらわれない、独自の拡張を行った信号の送信が可能になるようですので、そのメリットは非常に大きいものと思います。

信号の拡張の例ですが・・・
・電離層補正情報の強化
GPSの電波が電離層による影響を受ける事から、(日本周辺の)影響についての補正情報を送信。(米国をあてにしても日本周辺の詳細情報はサポートしてくれないでしょう。)

・測位に必要な情報伝送の高速化
全ての衛星の軌道の情報を受信するのに、現在のGPS衛星の信号では12.5分も!かかります。
位置を特定するのに最低必要な情報を得るのに30秒(1500bit/50BPS)要し、位置を特定するのに必要な4機の衛星のうち1機分でも情報がかけてしまうと、さらに情報を得るのに30秒かかってしまうのです。
qzssはそれらの情報伝送の高速化も狙っているようです。


今後、米や欧州の衛星も信号の拡張の計画があるようです。その辺についてどの程度協調を取っているかについては、よくわかりません(調査不足で申し訳ありません。)
jr7cwk
2010年11月08日 00:26
>技術的に成果があまりない、
 既存GPS衛星と互換性の高い信号に関しては「技術的成果」としては疑問符が付くかも知れませんが、現在市販されているGPS機器が一番対応しやすく、利用し易い信号です。
 「技術的な成果」は、やはり独自に追加される「拡張信号」の部分にあると思います。 今後の動向を注視していきたいと思っています。

関連して、こんなシンポも行われているようです。
http://www.multignss.asia/jp/index.html



長くなり、字数制限との関係でいくつもの書き込みに分かれましてすいません。

なお私はGPSの1アマチュアユーザーに過ぎませんので、説明が不十分な部分が多々あるかと思います。
下記サイトがGPSからQZSSに渡って比較的かみくだいた説明が掲載されています。
ご一読願えますでしょうか。
http://www.aisantec.com/feature/09_PetitKnowledgeCollection/index.html
2010年11月08日 17:17
jr7cwk さま、
長文でご親切なのコメントありがとうございます。とても勉強になります。
ご高説のとおり、一番大切なことは、「現有技術に満足することなく、新技術をひとつでも自分の手で開発していく」、ということと再確認しました。当方の暗愚をご指摘いただきありがとうございます。

当方の勉強ソースは、US Coastgard
http://www.navcen.uscg.gov/

坂井丈泰「GPS技術入門」東京電機大学出版局、2003年
ぐらいなもので、GPSの多様な側面をご説明いただいた貴説に感銘を受けました。
ほんとうに、ありがとうございます。
また、変な愚説をアップした際には、コメントをよろしく願います。
jr7cwk
2010年11月21日 02:09
レス遅れましてすいません。

技術面であれこれ書き込みましたが、「みちびき」の打ち上げまでのいきさつ、というところではいろいろあったのですね。
その辺の事情を知るきっかけともなりました。
(ちょっと胡散臭いと感ずる話も<農業向けを想定した応用も考えられているようですが、いまの農家にそんな多額の投資を行う体力なんてないぞ、というのが農業にも関わっている自分が思うところです。)

事業仕分でいろいろ騒ぎになっている昨今、あまりにも先を行きすぎた開発は切られる運命なのか、とか、お金(税金)の使い方として本当にいいのか、という面でも非常に考えさせられました。

でも1機とは言え打ち上げられた以上、この「インフラ」いかに有効活用していくか、が今後の大きな課題になりそうです。

>勉強ソース
ご紹介ありがとうございます。
恥ずかしながらUS Coastgardのサイトは初めて知りました。
せっかくのご紹介なので見てみたいと思います。
>「GPS技術入門」
このような専門書を一度は読んでおかなければならないなぁとは思ってはいるのですが、なかなか高価な書籍なので手が出なくています。
そんな訳で私の場合はネット上の情報の寄せ集めです。

失礼しました。
2010年11月21日 09:57
jr7cwk さま、
レスありがとうございます。
当方も、これから多様にGPSで遊んでみたいと考えています。(素人でも「遊べる」ところが、GPSの偉大なところです。)
また、よろしく。

この記事へのトラックバック