小林惟司「寺田寅彦と地震予知」を読む。物理学を理解できない人が寅彦を書いてはいけない。ウソばかり。

小林惟司「寺田寅彦と地震予知」 東京図書 2003年を読む。地震波のP波とS波を理解できない人が、地震と寅彦について文章を書いても説得力は無い。逆に、ウソばかりが並び、読むに耐えない。物理学の素養が無いから、物理学から寅彦を評価するどころか、自説をたてることもできない。結局、断片的な引用ばかりを並べることになる。典型的な老人のたわごと集となった。

「マントルはP波であって、地殻の方はS波である。」(p.26)
これを読んだだけで、この本は読む価値が無いことがわかる。P波がマントルを伝わる波なら、なぜ、地表で観測されるのか。縦波と横波の違いは初歩的なこと。液体中(内核)は横波は伝わらないことと誤解している。

小林は地震予知に、発光現象と地震雲を使えと本気でいっている。このことは、小林が「科学」はなにかということを理解していないことを示している。

科学とは理論なのである。前提(仮定)をおき、そこからの論理的な推論により結論を見出し、その結論を実験・観察で検証するのが科学なのである。この理論体系が科学の本質なのである。

発光現象にも地震雲にも、理論が無い。どのような仮定をおき、どのような物理過程を想定すると、どのような現象が起こるか、を論理的に説明する体系になっていない。このような論理体系になじまないものは科学の対象としない。それだから、坪井忠二も発光現象を物理学の対象として取り上げることに反対したのだ。中国で何万人が観測しても、理論体系の無いものは科学の対象とはしない。

発光現象や地震雲そのものの存在を科学は否定しているのではない。科学の手法はこれらを対象とするのに適さないということだ。宗教は科学の対象ではない。ホメオパシーは科学の対象ではない。

本書の後半は、まさに老人の愚痴ごと集。同じ事を繰り返す老人特有の文章が続く。寅彦の(そして、寅彦を追想するひとびとの)文章を方々から引っ張ってきて、それを切り貼りしている。ひどいものだ。

結論。理学書で定評のある東京図書が汚点を残した。編集者はもっと心して、悪書は自社からは出版しない勇気を持つべきである。

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