ソニック・ブームとはなにか。流体力学のお勉強。(その16)

8月7日夕方、東海地方の広い範囲で「ドーンという爆発音」を聞いた人がたくさんいたとのこと。その時期、同じような場所で、大規模な流星群が観測されており、天文台の人が、音の原因は「ソニックブーム」ではないかといっているとのこと。同感である。

ソニック・ブームは超音速で大気中を飛行する物体が引き起こす圧力波である。物体が大気中を超音速で飛行すると、物体により大気が圧縮され圧縮波が発生する。この波は音速で伝播するが、物体の速度が超音速なので、圧縮波が拡散せず、一つの波面を作ることになる。(密度の濃い部分の波は、密度の薄い部分の波より、速度が速い。)これが衝撃波で、この波の前後で不連続的な、大きな圧力上昇が起こる。これが音となる。

物体は、通常、先端から中央部までは断面積が増加し、中央部から後端部までは断面積が減少する。この断面積増加部が圧縮波の原因となる。断面積減少部では流れが膨張するので、膨張波となる。膨張波は音とはならない。

さらに、有限な長さを持つ物体の後端では流れが再度一様流と同じ方向の戻されるので、気流は再度圧縮される。

ようするに、先端から圧縮波(衝撃波)、中央部から膨張波、後端から圧縮波(衝撃波)が出ることになる。この圧力波形は、英文字の N に似ていることから、N波 とも呼ばれる。

したがって、衝撃波(圧縮波)が2回来襲することになり、「ドーン、ドーン」と2回音が聞こえる。ただし、空気密度・温度の不均一性と地上地形の影響などから、波形がくずれ、1度しか音が聞こえないときもある。

フロリダのケネディ宇宙センター近辺では、スペース・シャトルの帰還時に、「ドーン、ドーン」と2度破裂音が聞こえる。住民はみんな聞いている。聞けない人は、このセンターのI-Max Theater へ行けばよい。ここで、この映像と音響を放映している。

余談だが、ソニック・ブームは超音速を飛行する物体にとっては避けては通れない基本的な物理現象。密度の高いところの波の速度が速いことから、拡散しない。しかし、この物理学を理解していない輩がいて、超音速旅客機のソニック・ブーム軽減の研究をやっている。眉に唾して聞いておくのが良い。

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