新幹線先頭車両形状と空気抵抗。流体力学のお勉強。(その12)

新幹線の先頭車両の形状は定常的な空気抵抗を最小にするのではなく,トンネル突入時の非定常現象を緩和することを設計仕様として設定している。

では,すこし戻るが,地上走行時の定常空気抵抗を最小にするには,どのような形状がいいのだろうか。

この問題は,すでにクラッシックなものとなっていて,「専門家」の中では常識となっている。下記の記述と違う言明を行ったり,違う形状を設計しているものは,「専門家」でないか,他の要素を設計条件としている。

最小空気抵抗の結論を先に言おう。旅客機の機首を見よ。これが最小抵抗形状である。

新幹線でいえば,「0系」が最小空気抵抗を実現する形状である。「N700系」は,先頭部形状としては,最小抵抗形状ではない(最後部形状としては検討の価値は有る)。

要点は,境界層の剥離を防ぐことだ。車両に沿う粘性の効果が効いている薄い層(境界層)は,圧力勾配dp/dx や車両の表面条件により,車両表面からはがれてくる。このはがれの現象をなくす(または,最後流までおくらせる)ことが抵抗を小さな値に保つことにつながる。

境界層を層流に保つか,それとも乱流になることを許して剥離を防ぐことに主眼をおくか,このあたりは,車両の条件を詳細に検討しなければ,一概には言えない。

また,忘れてはいけないことは,流れに擾乱が生じたときにそれに対し,流体力学上,ロバストに対処できる形状にしておくことだ。すなわち,すこしの横風が吹いても,安定で,剥離がすぐには起こらない形状にしなくてはいけない。とんがった先頭形状は,この擾乱に弱く,設計点からずれたときに弱点が表面化する。

要するに,とがって先頭部は,亜音速領域では,抵抗増加の要因になるということである。

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新幹線車両は最後尾車両の形状が重要。流体力学のお勉強。(その8)
http://44579446.at.webry.info/201007/article_57.html

新幹線車両の空気抵抗。流体力学のお勉強。(その9)
http://44579446.at.webry.info/201007/article_59.html

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