ギリシャ語(51) ギリシャ語とラテン語(5)

アオリスト

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ギリシア語のアオリストa6ristos(khr6nos)は,否定辞のaと,「境界をきめる,限る」の完了受動分詞形との合成語であり,「限定されない,限りない(時)」の意味である。
この名称がそのまま近代に伝えられたのは,この時制がラテン語に欠けていたからである。既述のように,ラテン語「いう」の完了形,「統治する」の完了形にみられる一S一は,アオリストのしるしの一S一だから,ラテン語ではこれが早くに完了と合流したものと考えられる。
ギリシアの文法家がいうアオリストと未来の対というのは,理解しにくい。形のうえからは,アオリスト形「示した」と未来形「示すだろう」には一s一の共有が認められるけれども,一方で多くのアオリストはこれをもっていない。例えば,現在形1eipδ「残す」一アオリスト形,未来形。したがって,これはこの2つの時制を対にする規準とはいえない。アスペクトのうえからみると,未来には一定の相をあらわす働きはない。これに対してアオリストは,不完了や完了と違って,問題の行為とか事件を全体として一回的にとらえる表現に用いられる。もちろんどの過去時制を選ぶかは,話し手のその事態に対する観点のとり方にかかっている。したがってアオリストという用語は,過去時制の中でのそうしたアスペクトが「限定されない」という意味での命名だと考えれば,逆に「限定されない未来」と対をなすということも理解できよう。

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