ギリシャ語(53) ギリシャ語とラテン語(7)

中動態

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「中間」とよばれる態(中動態)は,ギリシア語のみならずサンスクリットにもみられるが,両言語ともこれが能動態と対をなすものであった。もちろん人称語尾も能動態のそれと区別され,この中動態が受動態を兼ねていた。受動態の形が独立しているのはアオリストと未来だけで,これには「放つ」ならば一the一というはっきりとしたしるしをもった語幹が使われる。
しかしこの受動形は比較的新しいものである。このような事情は,文法家の態の説明からもうかがわれる。まず「能動態」には「打つ」という例があげられ,「受動態」にはその中動態の形があげられている。これは動作主agentを伴えば「…によって打たれる」という受動の意味をあらわすけれども,同時に中動として「(悲しみの表現として)自分の胸を打っ」の意味でも用いられ,またときには対格が目的語を伴って「悼む」という表現にも使われる。ということは,この能動と受動という分類は,ギリシア語の2つの異なる人称語尾にもとづくものと考えられる。
その証拠は,「中間」の例としてあげられたものに示されている。それは1人称・単数の4つの形である。まず,能動態「しっかり固める」の完了形であるが,意味は自動詞的に「固まっている」である。能動態「壊減する」の完了形で,「破滅している」の意味をあらわす。つぎの「つくる」,「書く」のアオリストの中動形である。そして前者は能動態のと意味上の差はあまりなく,ただ動作が動作者自身の能力によって行なわれることを示している。例えば,「(自分の能力で)戦争を行なう」。後者の訴状などを「執筆し(訴え)た」という他動詞に用いられている。

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